遊び心溢れる漫画単行本の装丁 - フラン☆Skin　はてな支店ver.3.0

最近ラノベのデザインが良いとか聞くけど、正直漫画に比べるとまだまだだよなぁ、と思います。
漫画も昔はデザイン一律同じだったんですけど、それでも「（有）椎名百貨店」のカバー下とか結構遊び心あったんですよね。
装丁関連で言えばスクエニや角川と比較的漫画の歴史が浅い所が積極的に取り組んでいるという印象があります。

という訳で漫画でやっててラノベが未到達or定着してないデザイン上の遊び心を幾つか挙げてみます。

■表紙カバー折り返し（装丁：朝倉哲也）

電撃PlayStation連載のエロ4コマ「放課後プレイ」より。
黒ストで踏まれることがメインの本作らしい遊び心です。
ちなみにカバー下の表紙は必見。

■カバー下（装丁：不明）

言わずと知れた週刊少年マガジン連載の「さよなら絶望先生」より。
表紙を捲らないで系のネタを仕込むのは基本中の基本で、他にもカバー下連載漫画をやってるのとか多いですね。
ちなみに「さよなら絶望先生」はカバーの紙質も作風に合わせて和紙にしてます。

■背表紙（装丁：辻本有博）

アニメ2期も決まっている「ハヤテのごとく！」より。
こういった繋がった背表紙で一番有名なのは「ドラゴンボール」でしょうね。
ヤジロベーが2度出てきたのも懐かしいネタ。（笑）

■奥付（装丁：里見英樹）

老若男女が楽しめる「よつばと！」より。
奥付で遊ぶことは出版社の上の方はかなり難色を示したらしいけど、里見さんが遊び心を優先したとのこと。
奥付で遊んだのは多分里見さんが初めてじゃないでしょうか。

■規格外な帯（装丁：里見英樹）

先日完結した「私立彩陵高校超能力部」より。
帯とは呼べないほどの大きな帯で、その下は裸があって1巻の時に話題になりました。
しかし帯に更に帯とか無茶すぎる。（笑）

■帯の下には…（装丁：里見英樹）

結城心一のアンソロ集「Heart2こみっくHeart」より。
帯の下にぱんつとか使い古されたネタではなく、「黄色はいらない子」と散々言われた笹森花梨を配置するというブラックユーモアによろしく、な感じ。
原作を理解していないと出来ない秀逸なデザインです。

■出版社を跨いだ共通デザイン（装丁：里見英樹）

スクウェアエニックスの「ぱにぽに」とアスキー・メディアワークスの「まろまゆ」
普通は出版社のフォーマットに沿うもんだろうけど、そんなのより読者に判りやすく、ユーモアも盛り込んだデザイン。
中には違う出版社だということを知らずに買った人も多そうですね。

■表紙連結デザイン（装丁：里見英樹）

色んなトコで連載されていた「ももえサイズ」より。
一つ一つがちゃんとしたデザインなんだけど連結できるというおもしろ表紙。
左2つは一迅社の完全版AとBで右のはAMWの電撃ももえサイズという出版社を超えたコラボレーションというのに驚き。
表紙連結だけならラノベでも禁書目録でやってますが、出版社を跨ぐのはまだ例がなかったはず。

■鮮烈なキャッチコピー（コピー：里見英樹）

数年に1度しかコミックスが出ないことで有名な「苺ましまろ」より。
その帯に書かれた「かわいいは、正義！」は「苺ましまろ」という作品を超えて広まっています。
漫画の帯は作品性をよく理解したキャッチコピーが並ぶことが多いですね。
（参考：射精したら負けかなと思う、究極の寸止め漫画、『オレたま』２巻ＤＡＩさん帝国/ウェブリブログ）

■閉じたら菌（装丁：ARTEN）

オタク以外もかもしまくっている「もやしもん」より。
菌はどこにでもいる、ということを表したかなりエスプリの効いたデザインです。
話のネタにもなるので、販促効果も結構高そうですね。

■表紙カバー裏デザイン（装丁：On Graphics）

ぢたま（某）先生に聖水以外のイメージが定着した作品「まほろまてぃっく」より。
エロ可愛いおにゃのこを描くことにあるぢたま（某）先生の本領発揮は見付かりにくいトコという…
一応このネタはラノベでは電撃文庫のみーくんまーちゃんで実践されてますね。

上に挙げたのはほんの一例に過ぎず、実際はまだまだあります。それと、判るように特異なデザインを生み出しているのは里見英樹さんが多いです。よつばスタジオの社長と言った方が通りが良いかな？　氏のデザインはデザイナーの中でも突出したものであることは業界では有名ですね。一応ラノベでもMF文庫Jのドルイドさんで装丁を手掛けてらしてます。（絶叫さん繋がりかな、と）

背表紙がレーベルで統一されているのは本屋で狭いスペースでレーベルを判別しやすいようにとか理由があるのでしょう。また、漫画の場合は作者がロハで描いてるとかほとんどに対して、ライトノベルだとイラストは極一部の例外を除きギャランティ契約ではなく買い取り契約が主な為、そういったことが難しいというのもあるのでしょう。ですがそれにしたって、ユーモア溢れる漫画の装丁に比べるとライトノベルの装丁というのは遊び心というものがかなり貧弱と言わざるを得ません。最近だと「SH@PPLE」は帯と嘘あらすじと言った面白い試みをしてますが、それにしたってかなりレアな存在ですし…

漫画業界では中小レーベルだけでなく、ジャンプといった最大手ですらも「DEATH NOTE」に代表されるように表紙デザインをフォーマットを逸脱するものが増えてきました。ライトノベル業界も既存の常識に捕らわれず、漫画のように遊び心に溢れたデザインをして欲しい所ですね。