漫画雑誌のアンケートはいつになったら全面的に電子化するのか?(追記あり)

はじめに

何故こんなエントリーを書くことになったかというと…






という訳で情弱なDAIさんみたいな人にも分かりやい現在の漫画雑誌のアンケートの今と、勝手な電子化への見通しを書き綴るのが本エントリーの主旨です。

現状

アフタヌーンやイブニング等、講談社の幾つかの雑誌ではオーカンjp経由で実施されています。
携帯のメールアドレスが必須なので、携帯を複数持っている人じゃない限り複数回答できないようにしており不正が行われないように一応の配慮がなされています。また、電子化オンリーではなくアナログとのハイブリッドで行う配慮もしています。

キーワードさえ判れば投票できることは確かですが、設問内容が判らないと正確に投票できない仕様になっていますので立ち読みで回答するのは至難の業。ただ、ゆっくり読める漫画喫茶等では回答できるという穴があるのも確かです。
また、雑誌によってはPCでも投票できるものもあるけど、ガラケーからしか投票できないのもあるとかないとかで、講談社大好きなトルド神に聞いてみたところ…



とのことです。
うーん、普通に考えれば男性向け女性向け問わず同じシステムに統一した方がコスト掛からない気がするんですけどね…


で、講談社以外ではどうかというとほぼ全ての雑誌がアナログです。
アナログでも幾つか方式があるので分けるとこんな感じ。


雑誌アンケートアナログ派閥
  ├─ハガキ綴じ込み派
  │   ├─ミシン目入れる派(電撃大王
  │   ├─切手代いらないよ派(フラッパー)
  │   └─頑張って切り取って切手貼って下さい派(ヤングエース
  └─ページ印刷派
      ├─宛先は手書きしてね派(サンデーGX
      └─宛先も切り取って貼ってね派(アワーズ



ミシン目入れる派:電撃大王



切手代いらないよ派:フラッパー



宛先も切り取って貼ってね派:まんがタイムきららフォワード



宛先も切り取って貼ってね派:アワーズ(設問0)


取り敢えず代表的な雑誌を書いて見ましたけど、どの雑誌がどの方式かは調べてみれば分かるかと思います。
まぁ、印刷費考えるとページ印刷派が有利だと思うんですよね。とはいえ宛先を手書きってのは面倒なんで「宛先は手書きしてね派」は宗旨替えして欲しいんですが。
一番印刷費が掛かるのは「ミシン目入れる派」ですが、経費的には「切手代いらないよ派」かもしれません。まぁ、そこら辺は中の人に聞かないと分かりませんが…


ちなみに同じ出版社でも編集部が違うと様式も全く異なるというムダ体質なのでトヨタ生産方式にどっぷり浸かったトヨタ系列の人が見ると唖然呆然すること請け合いです。

電子化のメリット

  • 読者側の金銭的負担が減る。(切手代いらないよ派以外)
  • 読者側の入力が簡単になる。
  • 編集側のアンケート集計の手間が減る。
  • 編集側も印刷費が削減できる。(ハガキ綴じ込み派)

電子化のデメリット

  • 漫画喫茶や回し読みでもアンケート可能。(性悪説
  • PC,携帯等ネット環境がない読者層(主に小学生)等は参加できない。(ハイブリッドで解決可能)
  • 出版社のお年寄りなお偉いさんの受けが悪い。

コスト削減効果の見積もり

ついでにコスト削減効果をハガキ綴じ込み派で素人考えの適当さでですが考えてみます。

印刷費削減額=印刷部数×1部当たりの印刷費


印刷部数は社団法人 日本雑誌協会がまとめているのでそのデータを引用してみます。
サンプルは読者層的にネット環境を保持していそうな角川系列(角川、AMW、エンターブレイン)で概算。*1


少年エース:75,084
ドラゴンエイジ:29,842
月刊コミック電撃大王:130,000
ガンダムエース:135,417
コミックビーム:25,000
電撃萌王:50,000
ASUKA:37,084
シルフ:70,000
月刊ニュータイプ:133,750
コンプティーク:57,334
電撃PlayStation:126,092
ニュータイプ THE LIVE:21,334
ファミ通DS+Wii:64,917
アルカディア:120,000
キャラぱふぇ:180,000
週刊ファミ通:500,000
テックジャイアン:130,000
電撃Girl's Style:100,000
電撃G's magazine:120,000
デンゲキニンテンドーDS:160,000
電撃姫:80,000
電撃●マ王(まおう):80,000
B's-LOG:90,000
ファミ通Wave:100,000
ファミ通Xbox360:120,000
ファミ通コネクト!オン:80,000

計:2,815,854


印刷費はちょっと分かりませんが、ミシン目入れる費用はぐぐったら中小の印刷屋だと1部単価1円弱ですね。
http://www.wave-inc.co.jp/products/option/mishinme.html
まぁ、全部の発行誌でミシン目入れてるわけではないですが、はがき形状を印刷してオフセに入れる手間考えて0.5円くらいでしょうか?
まぁ、それを考えると


2,815,854[部]×0.5[円]=1,407,927[円]


毎月グループ全体で約150万円弱の支出削減効果が見込めます。
実際は上記雑誌以外にもコンプエースとか増刊とか出てるのでもうちょっと削減できるかもしれません。


ですが、コスト削減効果それだけでなく集計は現在バイトくんたちが手作業でやっています。
昔某漫画家の人に聞いたトコロ、5万部くらいの某雑誌は少なくとも200人くらいアンケートが来るらしいので、概算0.4%だとすると…


2,815,854[部]×0.4[%]=11,263[通]


となります。
1通当たりの集計時間はOCR等を併用するにしても少なく見積もって5分とし、バイトくんの時給を1000円と見積もると…


((11,263[通]×5[min])÷60)×1000[円/h]=938,618[円]


毎月約100万円が削減できそうですね。
しかも編集部毎に集計してるからバイトくんは余剰が出てそうですしね。


という訳で全面電子化すると毎月250万円のコスト削減になりそうです。
とはいえ、電子化導入に伴いシステムの構築とかが必要になりますのでそのコストは必要になります。
まぁ、それでもよほどアコギなトコに頼まない限り1年も経たずにペイ出来そうですよね。
維持費に関しては正直よく分かりませんが、少なくとも250万円はしないのでないでしょうか。


取り敢えず、トヨタ生産方式を熟知したコンサルが入れば非常にスマートになることは間違いないでしょう。

まとめ

  • 現状、雑誌(主に漫画)のアンケートの電子化は講談社以外進んでいない
  • 電子化するメリットは読者、出版社ともに充分ありそうである


というわけですので雑誌は赤字が当然だなんだと言う前に、赤字幅を少しでも縮小するためにアンケートの電子化も視野に入れてはどうでしょうか。>出版社の方々
とはいえ、選挙における電子化が全く進んでいない現状を考えるに、メリット云々よりデジタルが判らないお偉いさんの面子(笑)問題が一番の難関だと思うので難しいかもしれませんが。

余談

メディアファクトリーの単行本はアンケートハガキを入れず、QRコードでアンケートの回答ができるようになっています。*2

これによって印刷費が抑えられますし読者側も手軽にアンケートに答えられる環境が整っていると言えましょう。出版社のカラーからみてQRコードを読み取れない人は無視できるレベルだと考えているのもあるのでしょう。
角川傘下になったのでこの慣習を他の編集部に普及できれば良いんでしょうが、お偉いさんの面子(笑)的に難しいでしょう…

(01/26追記)講談社以外での電子化済みの出版社について

はてぶやtwitterで教えて貰いましたが講談社以外でも小学館と新潮社がアンケートの電子化が為されているみたいです。

週刊少年サンデー
http://websunday.net/kensho/


サンデー超増刊
http://websunday.net/super/kensho.html


ゲッサン
https://sgk-enq.com/msun/


web@バンチ
http://www.comicbunch.com/information/ankeito.php


それともちろんWeb雑誌では作品読了後にアンケートに答えられるようになっているのが割りとデフォです。ガンガンONLINEはちゃんと景品まで当たるようになっていま。

男子高校生の日常 - 漫画 - ガンガンONLINE -SQUARE ENIX-
http://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/comic/danshinichijyo/


(01/27追記)組織票に関して


という意見をいただきました。組織票といっても幾つかタイプがあると思いますので場合分けをして考えますと…

  1. 個人で複数投票
  2. 文字通り複数人で組織を構成して投票


1の場合ですが、上記エントリーにあるように携帯に紐付けしていればかなり防げます。むしろ現状のハガキで投票するアナログシステムの方こそ脆弱性があると言えましょう。
実際こういう意見もいただいています。



むしろ熱心なファンからの組織票が減ることで雑誌の売上が落ちる可能性もあるのがデメリットといえばデメリットなのかもしれませんね…


そして2の場合ですが、現状のアナログのシステムでもあるでしょうが、懸念されるのは2chなどのような場所で”祭り”状態になっての投票でしょう。これは確かにありえます。
とはいえ解決法はないわけではなく、どうしてもこういった”祭り”状態になれば特定の日付から数日間のみ特異的なデータが統計から見て取れますので、そこら辺はシステムでアラームが立つようにすればOKなのではないでしょうか。即座に統計を取って処理できるのは電子化の強みと言えましょう。


また、電子化すればプレゼントの抽選も乱数使えばすぐですし、宛名のラベリングまで含めて自動化できるので発送処理もスムーズになる可能性が高いです。
特に角川系列の雑誌は発送処理に数ヶ月どころか1年以上掛かることが頻繁にあるので是非とも電子化して欲しいです。



月刊 アフタヌーン 2012年 03月号 [雑誌]


煩悩寺  2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

*1:割りと偏見

*2:おそらく元親会社であるリクルートの影響