出版社によるWeb漫画サイトに求められる要件とは

コミックナタリー - 電撃ジャパンが終了、「血潜り林檎」の今後は追って発表
http://natalie.mu/comic/news/82178


マミ「電撃ジャパンは逝ってしまったわ……、円環の理に導かれて……」


裏サンデーの暴露話でもあったけど、どこも出版社によるWeb漫画サイトってのは自転車操業みたいで成功しているのはガンガンONLINEがほぼ唯一と言っていいのが現状かと思います。
創刊当時はかなり不具合がありうちのサイトでも何度か話題にしたことがありましたが、*1 *2現在ではコミカライズではない独自タイトルでアニメ化も成し遂げて一定の成功を勝ち取っているといえるのではないでしょうか。
ではそんな勝ち組のガンガンONLINEが如何にして勝ち組となったのか読者視点から考えてみました。

無料で読める。

「ネットのものはタダ」という悪しき風習があるせいもあるのですが、コンテンツは無料配信がデフォです。
「最新話だけ無料で過去の作品は有料」というのはコミックと同じように感じますが、「有料」というフレーズがあるだけで誤解を招きかねないので潔く「第一話と最新話のみ公開」にした方が良いですね。
それと一番初めに有料で公開してしまったら、途中で無料に切り替えても第一印象が「有料」だったせいで敬遠される傾向があります。というか無料になったことを知らない人が多数出てくること請け合いです。
漫画は単行本が売れてナンボなんですが、そもそもまずは読まれないと話になりません。

過去の人気作のリバイバルをやっている。

これはほぼ必須でしょう。「魔法陣グルグル」というかつてアニメとなり一大ブームを作り上げた傑作のリバイバル舞勇伝キタキタ」の連載を初っ端に持ってくることで知名度は格段に上がりました。
サンデーならあだち充作品を、電撃ならあずまきよひこ作品を持ってくるくらいのことをしたら何とかなったんだろうなぁ、と思います。
となりのヤングジャンプ村田雄介さんという一般的なネームバリューとワンパンマンというネット界で一定の人気を誇るタイトルのコラボで代替していますね。
コミカライズなどのメディアミックスという手段もありますが、そもそも実績がないと呼べないと思いますのでそこら辺は難しいかと思いますし。
少なくとも二軍扱いで余力でやってるようなトコは淘汰されても仕方ないと言えましょう。

毎週更新している。

WEBコミックハイ!のように10日間隔で更新している所もありますが、やはり毎週とかの方が解りやすいです。
これは「ジャンプは月曜」「サンマガは水曜」というように週刊漫画雑誌に慣れているから仕方ないといえるかと思います。
また、月刊だと間隔が開きすぎて忘れてしまうことが多々ありますので、やはり毎週くらいが最低ラインじゃないかな、と思います。

RSSを配信している。

今ではRSSは古いかもしれませんが、普及していることは確かです。
チャンネルを多数用意しておくことはWebサイト運営においては常識かと思います。
ただ、ファミ通コミッククリアみたいに他の情報の中に埋もれたら不便極まりないので単独でのRSSを用意しておくことが必要だと思います。

サイトのトップを一目見てどの作品が更新したか分かる。

XGAのサイズで表示して、どの作品が更新されたか判らないとサイトは閉じちゃいますね。スクロールも可能ならしたくないです。
そういった意味ではガンガンONLINEはかなり良いかと思います。最近のクラブサンデーはだいぶ改善されてますが、以前は本当に分かりにくくてサイトを開くのも敬遠してました。

漫画を読むためのクリック数が少ない。

先ほど話に出てきたクラブサンデーですが、最新話を読むのに一つクッションが入ってます。

もうね、アホかと。バカかと。クリック数を極限まで少なくすることはアクセスを伸ばすことに対して必須であることはWebサイト運用に多少詳しかったら誰でも知ってますよ。
2ちゃんまとめブログでも画像のリンクをいちいちクリックが必要なサイトと初めから表示しているサイトではアクセスが雲泥の差ですからね。
可能ならトップページから1クリックで、次点で作品詳細サイトから1クリックにしておくのが最低条件ですね。

スマホでの閲覧が可能且つ容易である。

今の御時世だとスマホで読めないとかやる気がないとしか思えません。
スマホ対応はiPhoneAndroidの順でいいから兎に角対応しないと話にならないかと思います。

独自の面白い作品が連載している。

で、最後がこれです。
逆に言えば今まで挙げてきたことをやらないと、面白い作品が連載していたとしても読んでもらうことさえ出来ません。
「読んでもらえれば分かる!」とかいうのは「良いモノを作れば売れる!」と同じ甘えです。まず、読んで貰うことに一定以上の力を注ぎ込まねばどうしようもありません。
外注でも良いのでWebサイト運営に対するプロフェッショナルがいないと、編集と漫画家がどれだけ頑張ってもWeb漫画サイトというのは成り立ちません。

紙媒体の雑誌に出張掲載する。

上記までがWeb漫画サイトを構築するまでですが、それだけで完結したら勿体ないです。より読者層を広げる施策を打たないと読者数が一定数以上は伸びません。
コミックナタリー - ONE×村田雄介「ワンパンマン」発売記念、YJ本誌に読切など、紙媒体に出張掲載するのも重要です。メディアミックスで客層を広げるのと本質的には同じだと思います。
ガンガンONLINE作品はワタモテがビッグガンガンに載ったりしてるように、同じ出版社内でメディア展開中の作品の交流が割りと密になっています。

従来の出版社だと編集部同士の仲が悪いという、極めてアホな大人の事情で勿体ないことをしていることが多数あります。電機業界だとSONYなんかその典型ですね。お前らもっと仲良くしろよと部外者ながら思います。

別解:ニコニコ静画へ集約する。

Web漫画サイトを運営するのが面倒だしノウハウないし、やりたくもないというモノグサな編集部に朗報です。
ここ最近はニコニコ静画が頑張ってて、しかもユーザー数が結構いるのでニコニコ静画にコンテンツだけ渡してハイ終了というのも有りになってきました。
問題は多数ある中でどうやって抜きん出るかということと、メディア展開でコレを一押し!ってことを気軽にできなくなることでしょうか。
まぁ、選択肢としては有りかなー、と思います。