赤松健は電子書籍の夢を見るか?

(株)Jコミの中の人
http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/


あ、赤松健先生がはてなダイアリーのアカウント取ってるー!(そこかよ


AI止ま時代からファンで、ラブひなの頃は公式オフ会に呼ばれたら深夜バスで大阪から新宿に行くくらいの信者っぷりを発揮し、現在でもネギま!を定期的に1巻から読み返す発作が起こるほどの赤松健フリークの私ですので今回の赤松健先生が立ち上げた事業には大いに興味津々な次第です。


ちなみにどんな事業かはねとらぼの記事が判りやすいかも。
ねとらぼ:「ラブひな」全巻無料公開へ 赤松健氏、ネット漫画の新ビジネスに挑戦 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/17/news097.html


絶版本の電子書籍化は以前から希望されていましたが、まさかそれでビジネスモデルを構築するとは…
しかもFAQで初めて知ったんですが絶版本って基本的に作者が権利持ってるんですね。そりゃ、出版社に幾ら絶版本の電子書籍化を求めたって無駄だわ。


しかも電子書籍化する面倒をITに疎い人もいるであろう作家側ではなく、読者の側に委ねるというのも良いですね。断裁機とScanSnapが普及してきた昨今では少なくなってきたけど、糊付けをアイロンで溶かして糊付け部分まで綺麗にスキャンするコダワリの自炊派の人が輝けるチャンスが到来ですよ。今までアンダーグラウンドで神扱いされるのがせいぜいだった匠たちが表の世界、しかも作者に神認定される可能性があるんですよ。ここでやらずにいつやると!


いやー、絶版本って読者にとっても扱いが難しいですからね。特にスコラみたいに会社自体が倒産&消滅してるトコって絶望的で、ともちさんの「サクラサケ」だったり島田まゆさんの「IBARAGI茨木」だったり槻城ゆう子さんの「素ッ裸の幸せ。」だったりとスコラ時代のBIRZ作品だけでもお薦めの作品は多くあるんだけど、現状だと「BOOK OFFで根気よく探すかAmazonマーケットプレイスで状態悪いかもだけど手に入れるかして下さい」としか言うしかなかったのがこれで何とかなる可能性が見えてきた訳ですよ。しかもこっちは作者本人に金が入る訳ですよ。すげぇ。


勿論問題もあると思います。例えば芳文社みたいな7年縛りの契約をどう扱うかとかもあるでしょうし、連絡が付かない作家も出てくるでしょうし、懐疑的な作家も数多いと思います。ですがそれらは、かつて違法動画の温床だったニコニコ動画が現在ではアニメチャンネルで公式配信するようにまでなったように、解決できる問題だとも思っています。


ニコニコ動画のように、というのならばプレミアム会員制も導入したりも有りでしょう。事実この手のサービスの収入の源泉の多くは会員費みたいですし。会員にはこれまたニコニコ動画みたいに生配信ならぬ自作品(同人誌)のアップロードも可能にしたり、作品ページにAmazon広告を選べる権利とか入れたりすれば良いんじゃないかなー
他にも作者が翻訳家にお願いして英語版とか作ったらそれはワールドワイドで読まれる可能性がある訳で… おぉ…、何か凄くなりそうじゃね?


どうやっても漫画家でしかない佐藤秀峰氏の漫画 on webと異なり、こちらは自費出版の同人誌経験者で本人もPCやWebの世界を知り抜いたプログラマーで契約関係といった酸いも悪いも知り抜いた現役少年漫画家赤松健先生が立ち上げてますからね。しかも読者協力型にすることにより、特定の作家や作品しかない、というマニア向けの書店しかなかったWeb漫画界で正に「色んな出版社の本が集う本屋的な場所」が出来るんですからね。*1ホントこういうのが欲しかったんですよ!


電子書籍会では出版社と競合せず、競合があるとすれば新旧電子書籍を有料で配信しているeBookJapanか絶版コミックをオンデマンド配信しているコミックパークくらいでしょうけど、前者と競合する作品は作家側がどちらか選べば良いでしょうし、後者の場合は紙として保存したい人はそちらを利用する、という形になるだろうから棲み分けは可能なのではないでしょうか。


まぁ、何と言いましょうかここにきて本命が動いた感じがする日本漫画の電子書籍業界です。これは期待やでー

*1:本屋というより古本屋or図書館が正しいでしょうか