「SHIROBAKO」第23話で宮森あおいは何故あれほど号泣したのか。

SHIROBAKO第23話で声優として初めて名前のある役を演じ、声優としての一歩を踏み出せたずかちゃんこと、坂木しずか。
その際に宮森あおいが溢れ出る涙を堪え切れずに泣いていた理由は色々あると思いますが一番大きいのは「親友・坂木しずかが初めて声優としての一歩を踏み出せたから」だと思います。


ずかちゃんが努力しながらもずっと報われなかったことは第一話から描かれてきたので多くの視聴者は宮森と一緒に涙したと思います。
ですが、実は電撃大王で連載中のスピンオフ漫画「SHIROBAKO〜上山高校アニメーション同好会〜」を読むとより深く共感し、もっと多くの涙を流すことになると思います。
SHIROBAKO ~上山高校アニメーション同好会~ (1) (電撃コミックスNEXT)


SHIROBAKO〜上山高校アニメーション同好会〜」では彼女たちが出会い、同好会を立ち上げることになった時から描かれています。
初めに体育祭で宮森が絵麻の絵に惚れ込み友達になり、一緒に映画を観て感動し、そして宮森が暴走して絵麻と一緒にアニメを作ろうと思い立つことになるんですが、その時にまず誘ったのがずかちゃんでした。



誘った理由はこの高校2年生の時点で既に声優を目指していたからなんですよね。
ただの夢ではなく、現実の目標として声優を目指して練習していたのは演劇部に所属していたことからも伺えます。



だからこそノリでアニメ作ろうと言っているように見える宮森の誘いを一度は断ってるんですよね。
そして同好会結成前に演劇部に所属して演技の腕を磨くだけでなく、同好会結成後もしっかりとボイストレーニングにも通ってるほどの努力家な面も見せてくれます。



お世辞にも都会とは言えない山形でボイストレーニングをするのは東京ほど容易ではないでしょう。
そんなずかちゃんに感化されたからこそ絵麻がプロを目指し、その絵麻に感化されてみーちゃんがCG監督を目指したんですよね。


つまり、上山高校アニメーション同好会のメンバーが同好会のままで終わらず、プロになろうと思った一番の原因はずかちゃんなんですよ。
本編ではアニメーション同好会のメンバーの中で一番最後にプロとしての一歩を踏み出し三女に関わることになったけど、アニメーション同好会のメンバーの中で一番初めにプロを目指したのはずかちゃんだったんですよ。
そういった高校時代からの思い出があるからこそ、あそこまで号泣したのだと思います。


余談ですが第21話でずかちゃんがザ・ボーン社長に宮森から声優だと紹介して貰わなかった事が第22話の杉江さんの「わずかな自意識過剰やつまらない遠慮のせいでチャンスを取りこぼしてきたのを何度も見た」の伏線だと思われているみたいですけど、むしろあの居酒屋のシーンの伏線は第14話の音響監督の「政治的なキャスティングは必ずバレます。そしてそれは断言しますが作品にプラスになることはない。絶対に。」の方じゃないでしょうか。


どちらかというと杉江さんの台詞だとその直前の「僕は才能っていうのは何よりまずチャンスを掴む握力と失敗から学べる冷静さだと思う。」の方が第23話への伏線だと思います。
これは第14話アバンで音響監督に「キャサリン役も演技して」と依頼されたチャンスを掴み、そこに到るまでに第4話のオーディションでの失敗から学んだ冷静さがあったからこその第23話じゃないかな、と。
そんな風に考えてます。