漫画雑誌の電子書籍化でのメリット・デメリット
講談社、全コミック誌を電子化へ 紙と同時配信:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASGDW4T7ZGDWUCVL00D.html
2013年からDモーニングを開始したノウハウと、アフタヌーンのKindle版同時発売も1年以上の実績があるので、それを一気に横展開するということでしょう。講談社はこういったことが上手いイメージがありますね。
他社でも雑誌の電子書籍化は前例はありますが、社内全ての雑誌で、紙と同日発売というのは初と言えるのではないでしょうか。
さて、この漫画雑誌の電子書籍化ですが基本的に私は賛成です。なにせ既にDモーニングと少年ジャンプ+を定期購読してますし、アフタヌーンも毎月Kindle版で買ってますので。
ですが、それ故にメリットだけではなくデメリットも痛感してきました。真っ先に飛びついた人柱としてそこら辺をちょっと解説したいと思います。
- 読者側のメリット
- 嵩張らない
もうね、ホントこれ。特に私みたいに毎月10冊近く月刊漫画雑誌を買ってる身としてはこれが非常にありがたい。一応断裁してScanSnapで取り込んでるんですけど、ちょっと油断したらこうなります。
そのまま捨てるのが勿体無いからこれを断裁してScanSnapで取り込んでるんですが結構手間だし、部屋のスペース取るしで困るんですよね。
-
- 持ち運びが楽
アフタヌーンとか超重たいですからね。月末は月刊漫画雑誌が沢山出るので本屋からの帰りが非常に大変なのでアフタヌーンが減っただけでだいぶ楽になりました。
昔アフタヌーンとコンプエースとコミックアライブと電撃大王を一度に買って本屋から自転車で帰った時は地獄を見ました。(笑
また、持ち運びが楽だからこそ手軽にどこででも読めるというメリットがあります。私は車通勤なので通勤中読むことは出来ませんが、電車通勤の人とか楽になったのではないでしょうか。
それと持ち運びが楽だからこそ、友人に面白い漫画を気軽にその場で読んでもらいやすいという点もありますね。先日の冬コミではKindleとDモーニングが活躍しました。
-
- 全世界同時に読める
海外出張が多い漫画好きの友人が数人居るんですが、凄く喜んでました。
ネット環境さえあればたとえアメリカでもイギリスでも配信されて読めるんですよ! 凄い時代になったもんだ。
海外に味噌や米を持っていかないと我慢ならない日本人は多いですが、一部の漫画好きの日本人は漫画がないとストレスが溜まるので非常にありがたいのです。
また、北海道や九州や日本の遠隔地だと輸送の問題で発売日がずれる地域でも同日に読めるのも地味に嬉しい所だと思います。
-
- 読みやすい
アフタヌーンとか月刊少年マガジンとか分厚いから正直読むのが大変です。それに比べてスマホとかだと軽いから読みやすいのです。
ただ、少年ジャンプ+とか少年誌だと見開きを多用しますのでスマホの小さな画面だと面倒ですすね。
現状だとタブレットで見開きで読むのが最適解だと思います。
-
- 画面が綺麗
いくら日本の印刷技術が高度だとはいえ、雑誌用の紙だと黒の印刷がイマイチになることが多いですからね。
それに比べて最近のスマホやタブレットだと印刷とほぼ同じ350dpi相当の画面が普通に出回ってます。
だから雑誌に比べて綺麗だと感じることが多いです。
-
- 無料で読める号がある
昔の号とかだと0円で販売していることが多くあります。
このお陰で立ち読み気分で雑誌を読み、どんな作品があるのかが判るんですよね。
問題はあんまりその存在を知られてないことでしょうか。
-
- バックナンバーが手に入りやすい
クリックしたら簡単に手に入ります。
買い忘れていた時にも安心。
-
- 電子書籍版での特典がある
例えばDモーニングでは合併号で休みの時には新人の読み切りが配信されたり、少年ジャンプ+では食戟のソーマのカラー版が載ってたりします。
どちらかというとこれはオマケみたいなものですが、お得といえばお得です。
-
- アンケートが書きやすい
気軽にアンケートが出せる上に切手代もいりません。それでいてちゃんとプレゼントは届きます。
実際私はこの1年でDモーニングとアフタヌーンで一度ずつ当選しました。
ちなみにアフタヌーンの場合はKindle版なので講談社のアンケート応募サイトであるオーカンjpからの回答になります。*1
- 読者側のデメリット
- 電子書籍版には載らない作品がある
Dモーニングでは「バガボンド」「ビリーバット」そして今度は週刊少年マガジンでは「はじめの一歩」も電子書籍版では載りません。
とはいえ、ぶっちゃけて言えば殆どの読者は「載らないなら載らないでまぁいいか」と考えるでしょう。熱心な読者は単行本を買うでしょうし。
逆に言えば惰性で読んでる人が読まなくなるキッカケになる、ということなのかもしれません。
それにしても「はじめの一歩」というタイトルなのに電子書籍化のはじめの一歩で躓くとか皮肉すぎる…
-
- 目当ての作品しか読まなくなる
Dモーニングや少年ジャンプ+の目次機能は便利なので、好きな作品に直接飛んで読んでしまいます。
その結果、好きな作品と好きな作品の間にある作品は読まないことが多いんですよね。紙の雑誌だとパラパラっと読んで「おっ!?」と感じるコマがあったら読んでみたりしてたんですが、その習慣がなくなりつつあります。
まだDモーニングや少年ジャンプ+だと出版社側が目次の構成に工夫を凝らすなりして誘導できる余地はあるかもしれませんが、Kindle等だとちょっとどうなるかわかりません。電子書籍版の目次ページを用意する方が良いような気がします。
-
- 発売日がいつか判らなくなる
週刊誌はともかく、月刊誌とかだと正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。*2
Dモーニングのような専用アプリで定期購読にしておけば大丈夫ですが、Kindle等だと自分で買いにAmazonに行くなりしないといけませんからね。
本屋やコンビニで紙の本を見て発売しているのに気付いて、そこから電子書籍版を買いに行くまでのステップに溝があると思うのでどうにかして欲しい所です。
紙の雑誌に電子書籍版へのリンクを貼ったQRコード載せたらダメなんでしょうか? 取次とかに怒られるから無理かも?
- 出版社側のメリット
- 読者層の拡大
実は私はモーニングとジャンプは立ち読みか漫画喫茶で読んでたんですが、アプリを機に定期購読にしました。
好きな作品が多いのに何故買ってなかったかというと、週刊誌はあっという間に嵩張るからです。
私の周りにも似たような人が結構居たので、この電子書籍化で購読者層が少しは広がったのではないかと思います。
-
- 付録が不要
ミギーのフィギュアとか、付録ってのは作るのも検査するのも輸送するのもコストが掛かります。
その付録目当ての読者ならともかく、付録が不要な読者にとって電子書籍版は丁度良いです。
逆に言えば読者としては付録がない電子書籍版は安くして欲しいのですが…
-
- アンケートが集まりやすい
特にDモーニングや少年ジャンプ+などの専用アプリの場合はアンケートの回答が容易なのでハードルが低いです。
紙の漫画雑誌でアンケートを送ったことがない友人も何度かアンケートを送ってたくらいです。
- 出版社側のデメリット
- 特定の作品しか読まれなくなる
読者側のデメリットと同じですが、新作や読み切りは読まれにくくなると思います。
この問題は完全な解決策は難しいと思いますが、改善策は出していけると思うので頑張って欲しいです。
-
- 電子書籍化のコストが掛かる
何だかんだでコストが掛かるでしょう。しかしそこはルーチン化してコストを圧縮するしかないかと。